ヨーガで行うポーズは『アーサナ』と呼ばれます。
もともとはサンスクリット語の
ās【座る・住まう・休息する】とういう動詞から派生し、
『座法・座ること・居住、休み』という意味があります。
最初は瞑想を行う際の姿勢が『アーサナ』と呼ばれていたのが
ハタ・ヨーガでは、立位や仰臥姿勢なども『アーサナ』と言うようになりました。
ヨーガの教典 パタンジャリの『ヨーガ・スートラ』中で
【スティラム・スカム・アーサナム】
【安定し、快適な状態であることがアーサナである】
とアーサナを定義しています。
「スティラ」を「鋭敏だか、緊張のない状態」
「スカ」を「弛緩しているが、ぼんやりしていない」
と、訳している本もあります。
基本に戻り、本来の『アーサナ=座法』をいまいちど見てみましょう。
ひとつよが ではクラスの初めには必ず
≪快適で安定した状態の座法=アーサナ≫で
≪調気法・呼吸法 プラーナヤマ≫から始めています。
どの座法でも、骨盤を安定させ、頭頂を空に引き上げるように、
背骨を長く軸伸展させましょう。
肩はリラックスさせて、手は膝の上に自然に置くか、
親指と人差し指を結んでチンムードラを組んでもいいですね。
座位を長く快適に維持するためには、股関節を膝より少しでも高くしてあげましょう。
そのために、座骨の下にクッションやたたんだブランケットを使うことをお勧めします。
快適で安定した座法を維持することで、より深い呼吸と瞑想がもたらされます。
いくつかの基本的な座法です。
(流派や解説によっては名前、方法など若干の違いがあります。)
(各アーサナの効果などについては省略しました。)
① Sukhasana スカアーサナ 安楽座
Sukha=心地よい・楽な・穏やかな
胡坐。
身体の前に足首・脛が前後に来るようにおく。
(坐骨の下にクッションやブランケットを入れた方がより安定する)
② Siddhasana シッダーサナ 達人座
Siddha=達成された・成功した・完成した
左のかかとを会陰部の下に置き圧迫する。右かかとは恥骨にあたる。
右のつま先を左足のふくらはぎと脛の間に挟む。
③ Svastikasana スヴァスティカーサナ 吉祥座 卍座
svastik=幸運・吉兆
右つま先は左の腿とふくらはぎの間に差し入れ、左のつま先は右のももとふくらはぎの間に下から差し入れる。
④ Padmasana パドマーサナ 蓮華座
padoma=蓮華
仏教では結跏趺坐
右足を左の腿の付け根に、左足を右足の腿の付け根に置く。
⑤ Virasana ヴィラーサナ 英雄座
Vira=英雄・ヒーロー
両足の間にお尻を置き、ふくらはぎはそれぞれの腿につける。
両足先は床につけ後ろにむける。
⑥ Mulabandhasana ムーラバンダーサナ
根底締め付けの座位
Mula 根・底・基礎
bandha 結ぶ・締める・縛る
バタコーナアーサナ(足の裏と裏を合わせる合蹠のポーズ)から、両手をくらはぎの下から差し込み足先をつかみ、かかとをあげて足先を腿の付け根に引き付ける。骨盤を持ち上げて前方に運ぶ。両手はお尻の後ろの床につけてもよい。(注:足首、膝、股関節に負荷が多いので決して無理しないこと)
基本的な座法だけでなく、全てのアーサナのプラクティスをする上で
決して忘れてはならないことのひとつ。
人は遺伝や生まれ持った骨格、成長過程における生活習慣や環境など、
ひとりひとりが違った体格・体質を持っています。
その違いは、それぞれのアーサナに影響を及ぼします。
分かりやすい例えでは、今日紹介した座法の中で
パドマアーサナ(蓮華座)は、脚、特に膝下の長い人はそれだけで組みやすい。
ヴィラアーサナ(英雄座)は、正座の習慣があった日本人は比較的容易にできる。
などです。
けっして、他の誰かと同じようにとは思わずに、
自分自身の身体にあった練習を行いたいものです。
同じ人でも、昨日のアーサナと今日のアーサナは違います。
一時間前と一時間後でも違います。
今のこの瞬間の自分自身にとって、
心地よく・安定するところを探求するのがアーサナのプラクティス。
もしかしたら、最初は不快だったり、きつかったりするかもしれません。
それでも日々、少しづつでもプラクティスを続けることで、
必要な筋力や可動域の広がりが積み重なり、
呼吸とアーサナがぴたりとひとつになって
いつの日にか『心地よく・安定したアーサナ』に辿り着きます。
ところが、翌日はとてつもない不快に変わっていたり、ね。
そんな毎日の小さな、些細な変化に気づくこと。
それがヨーガの醍醐味でもあります。
いつもありがとうございます。
ナマステ。
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